サッカーの神様は等々力に舞い降りた
川崎フロンターレのここまでの隆盛の立て役者 関塚さんが、体調不良で辞意表明という衝撃のニュースが発表されてわずが2日間。
試合日程は、考える事も迷う事も許さず、4月26日(土)ホーム等々力に柏レイソルを迎えて行われた。本当にわずかな時間だったが、「関さんのイラストを入れた大幕」にサポーターのメッセージを入れたい・・という主旨だけを聞いて、あとは満足に打ち合わせする時間もなく、ほとんどデザインもレイアウトも任されて急きょ製作、完成直後に等々力に持ち込む事となった。
この日はサポーターも燃えていた。
志半ばで退任した関さんのためにも、急きょ監督に昇格する事となった高畠さんのためにも、何が何でも勝たなければならなかった。
昼頃から天気が悪くなり、メッセージ書き込みは当初予定していた広場からバックスタンド下の室内に変更されたが、早くから多くのサポーターが詰め掛け、熱心に関塚さんへの感謝の気持を綴った。
一部始終を見ていた者の感想としては、関塚さんは本当に「川崎サポーターに愛されていたのだな・・」という事。
それは当然そのはずで、J1に昇格させたのも、J後発チームとしては異例のスピードで優勝争いに加わり、昨年のACLではJリーグのチームとして初めて予選を突破させたのも、全て関塚さんの功績だからだ。
今年は各メディアから優勝候補の筆頭に上げられるほどの屈指の強豪クラブになった。
次々と川崎サポーターの夢を叶え続けていたのだ。
だが、そう簡単に全てが上手く行くものではない。
今年はスタートからいまひとつ歯車が噛み合わず、近年のフロンターレとしては珍しく下位に低迷している。
そこに退任という衝撃が走ったのだから、選手もサポーターも動揺しない訳がない。
だって、ここまでの経緯を見れば「関塚さんなしのフロンターレ」なんて誰も想像していなかった筈だ。
サポーターも選手達も頭を切り替えている暇はなかっただろうと思う。
とまどっている間もなく試合になってしまったのだ。
試合前のアップに選手達がピッチに現れた時にこのフラッグが掲げられた。
無数のメッセージが書き込まれていて「今日は負けられないんだぞ」というサポーターの声を表しているかのように。
試合後に29谷口博之なども「あのフラッグをみて感動した」と述べている。
試合が始まった。
だが、どうも動きが堅い。
明らかに柏の方がパフォーマンスが上だった。
フロンターレの方にほとんど得点の臭いがなく0ー2で前半を終えた。
だがGゾーンのサポーターはハーフタイムでも歌と声援を止めていない。
正直言ってそれでも「今日は無理だ」と思った。
堅くなっては何事もよい結果は生まない。力が入りすぎると何をやってもダメなのだ。
後半になって、また雨が降り出した。
早々にPKのチャンスが来たが、ジュニーニョのシュートは完全に柏21南雄太に読まれていた。
だが、雨のせいなのだろか?南の手からすり抜けてコロコロとゴール内に転がった。
そして、ほどなくして19森勇介の上手いミドルが炸裂。
終盤に29谷口の前に絶好のボールが来て、気持で押し込んだ。
結果は3ー2で信じられない逆転勝利。
だが、柏にも負けられない事情があったし、フロンターレが内容で上回ったとは正直思えない。
立ちっぱなしで必死に応援した柏のサポーターは本当に気の毒だったが、この日は「等々力にサッカーの神様がフロンターレのために舞い降りた」としか思えない。
この試合は分析してもナンセンスな気がする。
フロンターレが気持をひとつにする「MIND-1」を神様が演出したのだろう。
サポーターのみなさんからは「あのフラッグのおかげだ」と言ってもらって、製作者としては嬉しかったが、試合前から「MIND-1」になっていたサポーターのみなさんが神様を呼び寄せた気がする。
フラッグにも確かに力がある。数々の奇跡を見ている。
だが、本当に必要なのは「気持と声」なのだ。
それを後押しできるのがフラッグの力だ。そんな事はもちろんわかっている。
この日はサポーターの声をフラッグが後押しして、寝ていた神様を起こしてしまったのを目撃した。







